大学共同利用機関法人
高エネルギー加速器研究機構
Inter-University Research Institute Corporation
High Energy Accelerator Research Organization
環境報告
2010
全文はホームページで公表しています。
http://www.kek.jp/kankyou/
ダイジェスト版
加速器の相互利用
▶素粒子分野◀
▶原子核分野◀ 【CP の破れの解明】 【ニュートリノの研究】 【素粒子相互作用の大統一の可能性の追求】
【ハイパー核の研究】 【天体核反応の解明】
◆放射線科学センター
多彩なプローブによる 総合的な物質の構造と
機能の研究 ◆大強度ビームによる
高感度・高精度実験 ◆エネルギーフロンティア における先端的実験
◆各種加速器の建設、維持、改良 ◆先端加速器の開発研究
○電子加速器 ○陽子加速器 ○衝突型加速器
◆計算科学センター
◆超伝導低温工学センター KEK・JAEA共同運営
一部の職員が兼務 ◆機械工学センター
放射光 中性子 ミュオン 物質科学、生命科学、化学、
イメージング、表面科学、 地球惑星科学、環境科学など
物質構造科学研究所
素粒子原子核研究所
加速器研究施設
共通基盤研究施設
J-PARCセンター
つくばキャンパス
東海キャンパス
高エネルギー加速器研究機構(
KEK
)は、
KEKにおけるエネルギー利用の大部分は大型加速器、実験機器及び大型コンピュータ等を稼動させるための電力であり、 投入エネルギーを無駄にしないために同じ電力消費でより多くの実験成果を引き出すための努力が大切であると考え、様々 な基盤技術の開発と装置の改善を実践してきました。
例えば、つくばキャンパスのKEKB(電子・陽電子衝突型加速器)施設では毎月の消費電力は、運転開始以来、蓄積電流の 増加につれて電力はゆっくりと増加していますが、投入エネルギーに対する得られた実験事象の効率は目覚ましい上昇を続 けています。さらに国際リニアコライダー(ILC)やエネルギー回収型リニアック(ERL)といった将来型加速器の開発にお いては、電磁石や高周波加速装置とも徹底した超伝導化を目指し、エネルギー負荷低減を考慮した開発研究を行っています。 このような考え方に基づき、KEKが2008年3月に策定した「機構における地球温暖化対策のための計画書」では、以下の 目標を掲げました。
・加速器及び実験装置に関する電力などエネルギー資源の使用によるCO2排出の削減に対して、
〔投入エネルギー〕対〔研究、教育等の成果〕の効率の向上
・その他の一般電力などエネルギー資源の使用によるCO2排出の削減に対して、
CO
2の排出量を
2012
年までに
2006
年度比で
5%
削減
その他の一般電力などエネルギー資源の使用によるCO2排出については、2008年度に目標を上回る削減を達成しました。
そこで2009年度は、2008年度比1%削減を新たな目標として掲げ、様々な活動に取り組みました。その結果、2008年度比
8%削減を達成しました。機構全体としては、2008年度比で4%増加しましたが、これはJ-PARC全面稼動に依るためです。
これに対し、国内外から多くの共同利用者を受け入れると共に、企業等外部機関との共同研究、高エネルギー物理学分野で の国際協力を推進し、我が国の加速器科学の総合的発展の拠点としての使命を果たしました。粒子加速器を研究手段に用いて宇宙・素粒子・原子核・物質・生命の謎を解き明かす加速器科学を推進し、国内外の研究者に対して研 究の場を提供することを目的としています。
KEKは2つの研究所(素粒子原子核研究所、物質構造科学研究所)と加速器研究施設、これらが円滑に活用される様に支援する共通 基盤研究施設より構成されます。その他に日本原子力研究開発機構(JAEA)と共同でJ-PARCセンターを設置し、大強度陽子加速器 施設(J-PARC)の運営に関する業務を行っています。
MWh 30
2007 2008 2009 年度
管理棟 4号館
18.6
17.8
25.8 20
10
0
太陽光発電量の推移 節電モードを実現したヘリウム冷凍機の外観
管理棟の太陽光発電設備(つくばキャンパス)
発電量表示パネル
トピックス
ヘリウム冷凍機の節電モード運転
J-PARCに建設されたニュートリノ超伝導ビームラインは、2008年度に完成し、2009年度初頭からビーム運転を開始し ています。このシステムは超伝導磁石を採用することで曲率半径約100 m、長さ150 mのビームラインを約600 kWの電力で 運転可能としています。これは常伝導のシステムを採用した場合と比較すると既に大幅な電力消費の削減となっています。 ここで電力のほとんどは超伝導磁石を冷やすためのヘリウム冷凍機の循環圧縮機で消費されており、冷凍機の冷凍能力は、 初期冷却時間や、磁石クエンチ時の復帰時間、将来のビームロスの増大等を考慮に入れ、余裕を持って設計されています。 このため定常運転時はかなりの余剰冷凍能力が生じ、それらは全て液面制御ヒーターで補償していましたが、生成する寒冷 の半分以上に達し、結果として無駄な圧縮機動力を消費していました。ここでは圧縮機の吐出圧力及び流量を積極的に減ら すことによって冷凍機の冷凍能力を極力冷凍効率(冷凍能力と消費電力の比)が悪化しない様に制御し、補償ヒーターの出 力を定格時の約900 Wから節電モード時の200 Wに
減らしました。これによって圧縮機の必要電力は約
600 kWから420 kWに削減され、月あたりに約70ト
ン近いCO2 の排出量を削減しました。節電モードへ変わるためのシーケンスは自動化されていてスイッ チ1つで定格運転から節電モード運転に転換するこ とができます。また初期冷却時やクエンチ復帰時は 冷凍能力を自動的に定格に戻すことによって速やか な運転状態への復帰を実現し、効率的な物理実験の 一助となっています。
太陽光発電設備の設置
2009年度、つくばキャンパス管理棟の屋上に太陽光発電設備を新たに設置しました。 この太陽光発電システムの出力は50 kWで、一般的な世帯9世帯分の電力をまかなうこ とができます。太陽光発電パネルは、南向き・約30度という最も発電効率が高い条件 で設置されており、正門に近い管理棟の屋根のほぼ全面を覆っています。この発電シ ステムは2010年の1月下旬に稼働を開始し、3月までの約2ヶ月で、総発電量として約
10.4 MWhを供給しました。すでにつくばキャンパスの4号館には17 kW出力の太陽光
発電設備が設置(2000年2月完成)され、順調に稼動していますが、これに加えて太 陽光発電量が大きく増加しました。KEKにおける加速器実験のための投入電力量は膨大であり、これに比べると太陽光 発電量は大きくありませんが、持続可能なキャンパスづくりには省エネルギーの「見え る化」が重要である
との認識のもと、エ ネルギー需要の一端 として利用されるこ とに大きな意味があ ると考えています。
その他にも、詳細版には以下の記事を掲載しています。
・省エネ推進事業(省エネファンド)・低消費電力のデバイス設計---有機デバイスの性能向上へ
つくば 東海 ) (
5,000
2007 2008 2009 年度
総エネルギー投入量
3,804 3,630 3,760 TJ 4,000 3,000 2,000 1,000 0
石油燃料使用量
kL
電力使用量
GWh
水資源使用量
千m3
4,000
2007 2008 2009 年度
都市ガス使用量
2,631 2,567
2,496
千m3
3,000 2,000 1,000 0
300
2007 2008 2009 年度
CO2排出量
219
209 217
千t-CO2
200
100
0 600
2007 2008 2009 年度 356 337 260 400 200 0 600
2007 2008 2009 年度 383 366 380 400 200 0 60
2007 2008 2009 年度 24
39 40 40
20
0
KEK
における環境負荷の全体像
環境負荷とその低減対策
東海キャンパスの電力・水資源使用量については、JAEAとの協議による分担分を記載しています。
東海キャンパスでは、ガスを使用していません。
対象期間:2009年4月∼2010年3月、対象範囲:高エネルギー加速器研究機構 つくばキャンパス、東海キャンパス
マテリアルバランス
エネルギー使用量の推移
投入量
排出量
電力
379,735
MWh
CO
2排出量合計
216,530
t-CO
2都市ガス
2,496
千
m
3電力
210,753
t-CO
2
ガソリン
38
kL
都市ガス
5,683
t-CO
2軽油
2
kL
ガソリン
89
t-CO
2総エネルギー投入量
3,760,124
GJ
軽油
5
t-CO
2水資源使用量
260
千
m
3廃棄物排出量
553
t
つくばキャンパス1号館
省エネパトロールの様子
3号館に新設された駐輪場
入口に設置されたLED街灯
鉛ガラスを再利用したシールド
環境負荷とその低減対策
施設改修工事における環境配慮の取り組み
つくばキャンパス1号館の耐震改修工事において、一部のガラスにLow-E複層ガラスを採用 しています。Low-Eガラスは低放射ガラスとも呼ばれ、特殊金属薄膜がガラス表面にコーティ ングされています。金属コートを施すことで表面放射率を小さくし、放射伝熱を低減させる ことができます。Low-E複層ガラスを用いた複層ガラスの断熱性は3層の複層ガラスとほぼ同 じです。
また、屋上緑化を実施しています。屋上を緑化することにより、緑化土壌の断熱作用や植 物自体が日射を遮ることによる、屋内の温度上昇抑制や省エネ効果が期待できます。また、 植物の蒸散作用によって屋外空間の温度上昇を緩和する効果も期待できます。
省エネパトロール
省エネルギー連絡会では、省エネに関する巡視点検「省エネパトロール」を実施しています。 一般電力などのエネルギー使用に起因するCO2排出量の削減を進めるため、改善を要する事
項を発見した場合はその場で指摘、確認を行うものです。また、改善可能な「エコアイデア」 を見つけ出し、省エネ推進事業への提案を行います。2009年度には省エネパトロールを2回 実施しました。
J-PARC
における鉛ガラスの再利用
J-PARC 50 GeVシンクロトロンの入射直線部に、つくばキャンパスで使用されていた鉛ガ ラスを再利用した放射線シールドを設置しました。この鉛ガラスは大きさが約11 cm×12 cm ×30 cmのブロックになっていて、それをフレームに詰めてシールドとしました。およそ1,000 個の鉛ガラスブロックを再利用しています。
金属材料、古紙のリサイクル
KEKでは、使用を終了した実験機器や部品、工作加工に伴う金属材料の端材の金属廃棄物が発生します。これらの廃棄物のうち、鉄、 銅、アルミニウム、鉛、真鍮、ステンレスを分別して回収し、
677,120 kgを専門業者に売却しました。また、古新聞、古雑誌を古紙として、
48,950 kgを専門業者に売却しました。
LED
街灯の設置
つくばキャンパスでは入 口に至る歩道の照明が不足 していたことから、国内外 からKEKに訪れる人と近隣 の方々が夜間にも安全に通 行できるよう、街灯を設置 しました。
高エネルギー加速器研究機構
環境報告
2010
ダイジェスト版
環境報告
2010
全文はホームページで公表しています。http://www.kek.jp/kankyou/
問合せ先:環境安全管理室 〒305-0801 茨城県つくば市大穂1-1 TEL:029-864-5498 E-mail:[email protected]
2009年度共同研究者等受入[延人日(実人数)] 大学3年生を主対象としたサマーチャレンジ
J-PARC施設公開の様子 普通救命講習会の様子
J-PARC(ハドロン) J-PARC(ミュオン) J-PARC(中性子)
J-PARC(ニュートリノ) 放射光科学研究施設
合計 78,180
(6,655)
B ファクトリー その他
29,145 (3,317)
9,523 (259)
3,054 (110) 5,550
(155) 29,752 (2,683)
967 (101)
189 (30)
共同利用・共同研究
KEKには、加速器を利用した研究のために国内外 から多くの研究者が訪れます。こうした研究者のため に、手続きの効率化や共同利用者向けの情報を発信する
Webの整備、外国人研究者とその家族に対する日本語
研修など、KEKでの研究が効率的に行えるよう、様々 なサポートを行っています。社会との関わり
教育活動
KEKでは、高校生、大学生、大学院生など我が国の 将来を担う若者に、講義、実習、施設見学を通して最先 端の研究に実際に触れ、研究する喜びを実感する機会を 提供しています。
地域との交流
地域の皆様がKEKで行っている最先端の研究に触れ られる機会として、常設展示ホール「コミュニケーショ ンプラザ」を開設するとともに、一般公開(つくばキャ ンパス、J-PARC)、公開講座などを開催しています。